FC2ブログ
2018-07-29

竜飛崎の帰り道

竜飛崎 風景

Photo by 芽衣さん

詩    芽衣さん

 

竜飛崎 漁港


竜飛崎からの帰り道、

偶然通りかかった小さな漁港。

初めてなのに懐かしい..

まるで自分の中の記憶のようにも思える、

海辺の風景でした。

 

竜飛崎 花





   

    ポストまで なんメートルよ かったるい

    七月も やり残しは? 蝉に聴く

 


今から三十年前に沖縄から東京に出て来た会社の後輩がいた。武蔵工場に出向していた。沖縄コザ高で野球部だったので、仲良くなった。

アイツはタッパが高くて180cm、顔もよくて沖縄っぽい。しま言葉で「サキジョーグー」酒好き。俺は津軽弁で「じょっぱり」頑固な酒好き。

 

「仙台に遊びに行くぞ」と言えば「酒が呑める」と付いてくる。

松島海岸に福浦島が有って、三十分もあれば島内を廻ることが出来る。朝早く着いたので、「誰も行かないとこへ行こうぜ」と生えた草がじゃまをする。さすが松島、4m位の砂浜があり、周りは絶壁。海の音がさらさらと聴こえるようだ。黙ってワンカップの酒を呑む。

 

「青森に帰るぞ」と言えば「酒が呑める」と付いてくる。

当時は特急列車に乗って酒を呑んで、寝に入る。酒を呑んで、寝に入る。青森駅に着いて、実家に帰り、すぐに「竜飛に行こうぜ」と言えば「酒が呑める」と付いてくる。

小父さんが「顔ば見ればい男だ」と言う。沖縄のアイツはちんぷんかんぷん。

 

青森駅から津軽線で終着駅の三厩で降りて、バスに乗って竜飛崎だ。

あの当時は十一月の下旬、休みが有った?

たまに雪が舞って、「この国道は、車やバイクの通れない階段国道339号だ」と偉そうに俺は言う。「嘘つけ!」確かに看板を見たら、階段国道333号と書いてある。「ごめん」と沖縄のアイツが謝った。

 

「この季節じゃ、誰もいないだろう」と竜飛崎の小屋でノートを見ていたら、『竜飛崎、さいこー』『青い空とこの風景なんとも言えません』等と書いてある。ノートが十冊ほどある。

人が小屋に入ってきた。ドキッとした、二人が。

 

ノートを彼女が見ている。ノートを絞めて、何かを言って小屋をでていく。

「あの彼女、自殺するんじゃないの?」ぷるぷる頭をゆらす。

「しないでしょう。あの彼女、十一月もあとちょっとで終わるのに、何をする気でしょう」

 

小屋の外にでて、彼女のことを見張る。雪が吹雪く。

 

彼女が見られていることを知っている。彼女が二人の前にきた。

彼女が言う「私、誰もいないと思ったの。あなた達を見て、助かったの。私一人ならどうなったか分からないの」

 

沖縄のアイツは会社を辞めて、俺の結婚式に来てくれた。それからは会ってない。

 

今の俺の身体をみて、何と言うのだろう。

 


スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する