FC2ブログ
2018-07-22

ロマン飛行

 

クルマで迎えにきた

介護婦と僕の会話

        一年前の話し

 

「Sさんは休みだそうです」

 

「へぇ、呑みすぎたんじゃないの?」

 

沈黙がつづく

 

「私、会社を辞めるんです。

 Nさんには、

お世話になったので話そうと」

 

「え、嘘だろう?

会社を辞めてどうするの?」

 

「近くの歯医者で事務員をするのです。

 私、介護の仕事だけをしていたので、

とても不安で」

 

「いつ、辞めるの?」

 

「今度の土曜日です」

 

「へぇ、急な話しで。

 土曜は僕が行く日だ。

 何かあげるよ。

へぇ、土曜が最後の日か」

 

「Nさん、

私がポニーテールを短く切ったのを観て、

ガッカリしたのでしょう。

Nさんは、

ポニーテールが好きだから。

これを機に短くしました」

 

 

朝は誰が来るのか分かりません。

介護士さん等か、介護婦さん等か。

誰を迎えるのかは分かりません。

 

 

ちょうど偶然、

この介護婦さんが迎えに来てくれた。

しかも二人きりの十五分のドライブ。

頭の中で、

この介護婦さんの事を想いだす。

ポニーテールが似合っていて、

顔も姿も僕好みで。

 

電動カート殿堂入り


誰かを迎えに行って突然の雨が降る。

傘も差さないでどしゃ降りになり、

雨で濡れた姿で、

「通所リハの人を、

雨で濡らすなんて考えられません」

僕のハートがグサリ

 

十二時になり帰ろうとすると。

ポニーテールを靡かせて、

半分怒った顔で、

「ドライバーさんが、

来るまで待ちましょう。

 なんだったら、

私が玄関まで行きますから」

僕のハートがぐさり

 

七夕の日が近付いて、

「七夕ですね。何を書くのでしょう?」

「七夕なんて、関係ないよ。

リハビリ、リハビリに命をかける」

「そんなことを少し忘れて、

願いをかきましょうよ」

僕のハートがグサリ

 

そんなこんなで土曜日が来た。

 

超ラッキーだった。

あの介護婦さんだ、

「おはようございます」

クルマに入る前にこれを渡そう。

小さな声で、

「これを私に、ありがとうございます」

クルマの中には二人乗っている。

ドライバーである介護婦さんは、

後の二人と会話を楽しむ。

御婆さんは、

「偉い、別嬪さんね。

 髪の毛を短くしても別嬪さんね」

お爺さんは、

「五十年前に戻りたい、

 結婚を申し込むんだけど」

「そんなことはないです」

誰かが笑うと、誰かが大笑い。

 

ちょうど忙しい日で、

あの介護婦さんに会えなかった。

 

お爺さん、五十年前と言わないで、

せめて三十年前にしといて。

僕が結婚を申し込むのにな。

旦那さんと娘さんがいるの、

ポニーテールじゃないから、

  結婚は破棄にしてもらえますか?

そうでないとカミさんが、

    怒るのだから怖いです。

 

スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する